医療×労務コラム

2026.09.26

医療機関における副業・兼業への対応とは?医師・看護師・コメディカルの働き方と実務のポイント

医療機関における副業・兼業への対応とは?医師・看護師・コメディカルの働き方と実務のポイント

近年、働き方の多様化を背景に、副業・兼業を希望する医療従事者が増えています。

医師が複数の医療機関で非常勤勤務を行うことは以前から広く見られる働き方ですが、最近では看護師や薬剤師、リハビリ職、医療事務などの職種でも、副業や兼業を希望するケースが増えています。

例えば、休日を利用した訪問看護・介護分野での勤務、医療系セミナーの講師活動、専門知識を活かした執筆活動、資格を活かした相談業務など、副業の形態は多様化しています。

職員にとって副業・兼業は、収入面だけでなく、専門性の向上や新たな経験を得る機会にもなります。一方で、クリニック側にとっては、本業への影響や労働時間管理、情報管理など、事前に整理しておくべき課題もあります。

「副業は禁止すべきなのか」「どこまで認めるべきなのか」と悩む院長先生も少なくありません。

重要なのは、全面的に禁止することでも、無条件に認めることでもなく、クリニックの実情に合ったルールを整備することです。

今回は、クリニックが押さえておきたい副業・兼業への対応ポイントについて解説します。

副業・兼業は法律で禁止されているのか

まず理解しておきたいのは、労働基準法では副業・兼業そのものを一律に禁止する規定はないということです。

そのため、職員が勤務時間外に副業を行うこと自体は、直ちに問題となるものではありません。

一方で、クリニックは就業規則によって副業・兼業に一定のルールを設けることができます。

例えば、

・本来の勤務に支障が生じる可能性がある場合
・長時間労働により健康上の問題が生じるおそれがある場合
・患者情報や個人情報の漏えいにつながる場合
・クリニックの信用を損なう可能性がある場合
・競業関係により利益が害される可能性がある場合

などについては、一定の制限を設ける合理性があります。

特にクリニックでは、患者さんの個人情報や診療内容など、慎重な管理が必要な情報を多く取り扱っています。

副業先での情報管理が不十分な場合、本人だけでなく、雇用しているクリニック側にも影響が及ぶ可能性があります。

そのため、副業を認める場合には、あらかじめルールを明確にしておくことが重要です。

医療職の副業では「本業への影響」を確認することが重要

副業・兼業を認める際に確認したいポイントの一つが、本業であるクリニックの勤務に影響が出ないかという点です。

例えば、

・副業によって疲労が蓄積し、勤務中の集中力が低下する
・急な欠勤や遅刻が増える
・本来担当すべき業務に支障が出る
・職員間で負担の偏りが生じる

といった状況になれば、職場全体の運営にも影響します。

特に少人数で運営しているクリニックでは、一人の職員の勤務状況が他のスタッフへ大きく影響します。

そのため、副業を認める場合には、「副業をしているかどうか」だけを見るのではなく、「本業に支障なく継続できる働き方なのか」という視点で確認することが大切です。

クリニックが整備しておきたい副業ルール

副業・兼業を適切に運用するためには、就業規則や院内ルールを整備しておくことが重要です。

具体的には、

・副業を行う場合は事前申請を必要とする
・副業先の業務内容や勤務時間を確認する
・本業への影響がある場合の対応を明確にする
・患者情報や院内情報の持ち出しを禁止する
・クリニックの信用を損なう行為を禁止する

といった事項を定めておくと安心です。

実際には、「副業禁止」と一律に定めるよりも、「事前申請・確認制」として、一定の条件を満たす場合に認める運用を行うクリニックも増えています。

このような仕組みであれば、職員の働き方の選択肢を広げながら、クリニックとして必要なリスク管理も行うことができます。

副業・兼業への対応は採用力向上にもつながる

現在は、働き方に対する価値観が大きく変化しています。

「専門分野を広げたい」
「資格や経験を活かして活動したい」
「将来的なキャリア形成につなげたい」

と考える医療従事者も増えています。

そのような職員に対して、一定のルールのもとで副業・兼業を認めることは、柔軟な働き方ができる職場としての魅力向上につながります。

特に採用競争が激しい医療業界では、給与だけでなく「どのような働き方ができるか」も職場選びの重要なポイントになっています。

一方で、制度が曖昧なまま運用すると、「あの人は認められているのに、自分は認められない」といった不公平感につながる可能性があります。

だからこそ、許可基準や手続き方法を明確にし、職員へ公平に周知することが重要です。

社会保険労務士法人サムライズがサポートできること

副業・兼業への対応は、就業規則を一部修正するだけでは十分ではありません。

実際の運用方法や申請手続き、許可基準、情報管理ルールなど、クリニックの規模や診療体制に合わせた制度設計が必要です。

社会保険労務士法人サムライズでは、副業・兼業に関する就業規則や院内規程の整備をはじめ、申請・許可制度の設計、労働時間管理の確認、職員へ周知するためのルール作成など、クリニックの実情に合わせたサポートを行っています。

副業・兼業は、今後さらに広がっていくことが予想されます。

職員が安心して専門性を発揮できる環境と、クリニックが安定して運営できる体制を両立するためには、適切なルールづくりが欠かせません。

働き方の多様化をリスクとして捉えるだけではなく、人材確保や定着につながる仕組みとして活用していくことが、これからのクリニック経営において重要になるでしょう。

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